ねっとりしてない焼き芋を食べたい

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焼き芋屋を見かけると、100%買ってしまう。

去年引越して、車がきわめて入りにくい住宅街に居を構えてから、焼き芋屋は遠い存在になった。それでも今シーズン、三回焼き芋にありつくことができたのは僥倖というほかない。

ところで焼き芋、さいきん食べたことありますか。記憶の中の焼き芋と比べものにならないほど、とてもおいしいです。ねっとりしている。もの凄く甘い。

ただ、違いすぎて、これじゃない感がすごい。

仰天するほどおいしい。でもなんか違うな…。こんなシットリしてたら、バターを塗る余地がない。いや、おいしいんだけど。おいしすぎる。いい意味じゃなく、切ない意味で。

ああ、これは。老人たちが言っていた、トマトの青臭さが無いとか、ミカンが甘すぎるとか、梅干しの塩加減がほどよすぎるとかいうやつ。
こんなトマトじゃ塩を振る余地がないって、たしかに言っていた。

じいさん、とうさん、やっとわかりました。
私も、やっとこちら側に来ました。
ああ、ねっとりしてない焼き芋が食べたい。バターを塗って、のどに詰まらせながら。

情報量に対する体力というのがある。

たしかに体力と呼べるようなものがあると思う。

世の中には情報をたくさん仕入れる人がいる。新聞を読み、ニュースを見て、Googleアラートを駆使し、数十サイトをRSS購読、FacebookTwitter、話題の本はだいたい既読。
こういう人たちは、マッチョ。筋肉量があり、体力がすごい。ITを使いこなして比較的ラクにやっている場合は、細マッチョ。

いっぽう、相対的に、体力が弱い人もいます。私です。
本はゆっくり読み、わからなければ何度でも戻る。テレビに集中力を奪われて、あなたの声に気づかない。気づいても返事をする余裕がない。会議が二時間を超えると情報過多で吐きそうになる。

きっと、情報体力が強い人にとって、ひとつひとつの情報をさばくことは容易いのだろう。情報体力が弱い人は、ひとつひとつの情報に打ちのめされてしまう。パンチをくらう。真面目に受け止めすぎる。ある意味、繊細。感性豊か。一を聞いて十を知る。人間らしい。人間らしい、本来の姿。相手を思いやる、そんな人間らしさ。

そうなってくると、なんとなく情報筋トレ(速読、朝活など)をする気になれない。あなたの言葉をひとつひとつ真剣に受け止めて、あなたの気持ちを十二分に推し量りたい。

堪えきれず嘔吐するとしても。

無人島というのはたぶん凄いところで、

きっと「⚪︎⚪︎さんと無人島で二人きりになったら、寝るか寝ないか」という問題は実際的にはありえなくて、相手が誰であれ「無人島で二人きりになってから何日目に寝るか」という問題になるのではないか。
種を存続させる本能としてはもとより、精神的にも唯一の拠り所になるし、他の娯楽は少なく、生命は危険にさらされ続けている。他の人と比較してはじめて生まれる評価ーー外見にしろ、内面にしろーーは、時間とともに無意味になる。時間が解決することは、いつだって大きい。
時間さえかければ、必ず誰とでも寝ることができる。無人島はきっとそういう場所だ。

とはいっても無人島というのは桃源郷のようなところがあって、現実世界で無人島と言われる場所は別に無人ではない。観光客がざわざわと入ってきてしまう。サイパンにあるマニャガハ島というところは、時間やお金をあまりかけずにとても素晴らしいビーチを満喫できる、ぜひ立ち寄るべき「無人島」だけれど、連日アジア人が大勢訪れては、シュノーケリングやダイビングやパラセーリングをして、あるいは砂浜でビールを飲み、用意された鉄板でバーベキューを楽しむ。あの小さな島で、人の姿を確認できない時間と場所は、365日、どこにもないだろう。
他の無人島も、パラセーリングはできないかもしれないが、だいたい然り。

どうせ無人島があったところで、そのまわりは「有人海」に囲まれている。二人きりで過ごす周りで、漁船、ダイバー、潜水艦、シェールガス掘削、パイプライン敷設、洋上デモ、豪華客船、水上バス、ときには海上で花火、などということになるとぜんぜん無人ではない。無人海あっての無人島。
いつかあなたと二人で行きたいのです。

市のスポーツ施設なんかを管理しているんです。

仕事のようすを問われ、
後輩は笑いながらそう言った。
 

謝ったり、そういうのばかりです。
こないだも利用者の方が施設を汚してしまって
施設の人に怒られて謝ってきました。
私の出身校の後輩だったらしくて、
ちゃんとしろって言われましたよ。
 
 
そんな無茶な。
謝るべきなのは利用者の方で
あなたはちっとも悪くないのに
理不尽な人があったものだね。可哀想に。
 
 
「そういえば、
オンライン予約システムがあるよね?」
「はい。ありますよ。」
 
 
私はそれを使ったことがある。
悪夢のように使いづらいのだ。
 
インターネットを一度もしたことがない人が100人集まって、
予約システムに関する伝言ゲームをした結果、
100人目の人が半日で作ったような感じだ。
苦笑して私は言った。
 
 
「すごく使いづらいよね」
「そうなんです。それで最近リニューアルしたんですよ」
 
 
私はそれも知っていた。
なので少しためらったが、結局「知ってるよ」と続けた。
ためらった、というのはつまり
信じられないことが起こっているからだった。
 
 
「リニューアルして、更に使いづらくなったね」
  
  
後輩、笑うしかなくて。夏。

ツーはワンを超えられない。

ワンは荒削りで、改善の余地が沢山あるのに
ツーは大抵、ワンの良いところさえダメにしてしまう。
  
そう考えると
「よくできたツー」はとても貴重だし、
それを作るためのノウハウやマインドセットは、
もっと世に出回るべきだ。
  
手始めに、「すごい長男に引けを取らない次男」を百人集めて
全員のお母さんに話を聞こう。
  
  
すべては、映画界のため…
(今日観た映画が何のツーかはさておき)

長袖、暑くないの?と声をかけた。

「半袖を持っていないんだよ」
と友人は言った。

信じられない!
ここは東京であって北欧ではない。
知らないわけではあるまい。
去年までどうやって生きてきたのだろう?

「去年も同じ話をしたよ」


信じられない。
でもなんかごめんね。

ランチをたべ、レストランを出たところで、

言いようの無い幸福感に包まれた。


やる気がみなぎってくるような。
どうしようもなく前向きな。
体じゅうがそわそわとするような。


ああ春がきたのだなと思った。
それは中らずも遠からず。


実際は、花粉中毒の身体が、
この時期に舞い始める花粉を敏感に感じ取り
程良くほろ酔いになったのだ。


もう半月もすれば、一年で一番ハッピーな毎日が始まる。
(とは言っても去年の記憶はぜんぜん無い)



ーー今週のお題「最近あった良いこと」