無人島というのはたぶん凄いところで、

きっと「⚪︎⚪︎さんと無人島で二人きりになったら、寝るか寝ないか」という問題は実際的にはありえなくて、相手が誰であれ「無人島で二人きりになってから何日目に寝るか」という問題になるのではないか。
種を存続させる本能としてはもとより、精神的にも唯一の拠り所になるし、他の娯楽は少なく、生命は危険にさらされ続けている。他の人と比較してはじめて生まれる評価ーー外見にしろ、内面にしろーーは、時間とともに無意味になる。時間が解決することは、いつだって大きい。
時間さえかければ、必ず誰とでも寝ることができる。無人島はきっとそういう場所だ。

とはいっても無人島というのは桃源郷のようなところがあって、現実世界で無人島と言われる場所は別に無人ではない。観光客がざわざわと入ってきてしまう。サイパンにあるマニャガハ島というところは、時間やお金をあまりかけずにとても素晴らしいビーチを満喫できる、ぜひ立ち寄るべき「無人島」だけれど、連日アジア人が大勢訪れては、シュノーケリングやダイビングやパラセーリングをして、あるいは砂浜でビールを飲み、用意された鉄板でバーベキューを楽しむ。あの小さな島で、人の姿を確認できない時間と場所は、365日、どこにもないだろう。
他の無人島も、パラセーリングはできないかもしれないが、だいたい然り。

どうせ無人島があったところで、そのまわりは「有人海」に囲まれている。二人きりで過ごす周りで、漁船、ダイバー、潜水艦、シェールガス掘削、パイプライン敷設、洋上デモ、豪華客船、水上バス、ときには海上で花火、などということになるとぜんぜん無人ではない。無人海あっての無人島。
いつかあなたと二人で行きたいのです。