ねっとりしてない焼き芋を食べたい
焼き芋屋を見かけると、100%買ってしまう。
去年引越して、車がきわめて入りにくい住宅街に居を構えてから、焼き芋屋は遠い存在になった。それでも今シーズン、三回焼き芋にありつくことができたのは僥倖というほかない。
ところで焼き芋、さいきん食べたことありますか。記憶の中の焼き芋と比べものにならないほど、とてもおいしいです。ねっとりしている。もの凄く甘い。
ただ、違いすぎて、これじゃない感がすごい。
仰天するほどおいしい。でもなんか違うな…。こんなシットリしてたら、バターを塗る余地がない。いや、おいしいんだけど。おいしすぎる。いい意味じゃなく、切ない意味で。
ああ、これは。老人たちが言っていた、トマトの青臭さが無いとか、ミカンが甘すぎるとか、梅干しの塩加減がほどよすぎるとかいうやつ。
こんなトマトじゃ塩を振る余地がないって、たしかに言っていた。
じいさん、とうさん、やっとわかりました。
私も、やっとこちら側に来ました。
ああ、ねっとりしてない焼き芋が食べたい。バターを塗って、のどに詰まらせながら。