準備をし、家を出て、駅まで歩く間、

ほんの少し気持ちが緩み、思考が発散していくかんじ。
一つの目的に向かって考えるのではなく、なんとなくフワフワと色々なことが頭に浮かんでは消える過程で
今日いちばんのひらめき、天啓、つまりは忘れ物に気づくということがあります。

忘れ物に気づいた、それは喜ぶべきことでありながら、人は傲慢な生き物ですので
「なぜもっと早く気づかなかったのであるか」と打ちひしがれるものです。

そうして、来た道を戻ることをあえて選択し、重々しく玄関のドアを開けた、この疲れ果てた勇者にはいたわりをもって接してほしいものです。
「2回も忘れ物を取りに戻ってきたね」という話をするのは、傷が癒えたころにしていただきたい。


大学を卒業するころまで、ろくに遠出をしなかった私も、年齢を重ねて旅行もするようになり、
近頃は立て続けに飛行機で移動するようなこともあり
すっかり旅慣れてきたせいで、本当に旅を舐めている節があります。

建築大家・隈健吾氏が、飛行機の「手荷物」におさまる荷物だけで世界中を飛び回る、という話に感化されて
ほとんど最寄りのコンビニに行くような装備で2泊3日のみちのりへ向かうこともあります。

そうすると、ほら。色々と準備が足りず、結局家へ引き返してくることになるのです。

明日もきっとそうなる。そう思うと不安でなかなか寝つけません。
明日もきっと、2度ほど家へ引き返すことでしょう。
ああいやだ。

おやすみなさい。