水曜日なのでハーゲンダッツを食べた

週休3日で働いており、土日の他に水曜日に休んでいる。水曜日は何をしても良い。一日中ゲームをしてもいい。映画館をハシゴしてもいい。海まで行って恋に落ちてもいい。そんなことをしなくても、自分のペースでひとりで自由に過ごすだけで最高なので、そうしている。

 

今日はハーゲンダッツを食べた。ハーゲンダッツを食べるとN先輩のことを思い出す。

 

N先輩は社会人になって数年経つまで、ハーゲンダッツを食べたことがなかった。あんなに高いアイスを買うなんて、正気と思えない、そう思っていた。ところがある日何かのきっかけで(先輩は濁していたが、たぶん恋人がきっかけで)ハーゲンダッツを食べたら、その美味しさに仰天した。これを知らなかった今までの人生は損しているし、こんなにおいしいのにこの価格なら、コストパフォーマンス最高のアイスだと思った。

 

それからというもの、先輩は毎日ハーゲンダッツを食べた。これからの人生を一日も無駄にしたくないかのように。しかしふと、出費もカロリーも馬鹿にならないことに思い至る。どうする?

先輩は考えた末に、毎日ハーゲンダッツを買うのをやめた。かわりに、ハーゲンダッツのパーティーパックを買うことにした。

 

パーティーパックはバラ売りのハーゲンダッツよりひとまわり小さいカップが6個入りで、少しお得なのだ。それを食べ続けることにした。

 

しばらくして、パーティーパックはバラ売りより一回り小さいので、2個食べてもいいんじゃないか?と思い始めた。

 

パーティーパックのカップ2個は、どう考えてもバラ売りのカップ1個より多い。いいんじゃないか?と思う時点でかなりどうかしている。しかし、既に泥沼にはまっている先輩を誰が止められるだろうか。先輩は1日に2個ずつ食べはじめた。

 

それから数ヶ月後に、先輩は乳脂肪が原因で皮膚にポツポツしたものができ、自分の消化能力以上のハーゲンダッツを食べていることを改めて反省して、ハーゲンダッツとの距離は普通の人並みに戻ったのだった。