一汁一菜と「レシピを見ないで作れるようになりましょう。」とレイチェル・クー

突然ですが、「一汁一菜でよいという提案」(土井善晴、グラフィック社、2016)が好きな人は「レシピを見ないで作れるようになりましょう。」(有元葉子、SBクリエイティブ、2017)も好きだと思います。読んでみてほしいというか、最初の方に載っているキャベツ炒めやほうれん草炒めだけでも作ってみてほしい。

私は最初この本の通りにほうれん草炒めを作ったとき、仰天しました。工程を追うごとに、ほうれん草がどんどん美味しそうになる。フライパンからいい香りの白い煙が上がる頃には「おいしそう…」とつぶやいてしまう。食べてみると二度見するような旨さ。

キャベツやほうれん草を(何も見ずに)単体でおいしく炒められる。それだけで、料理の自由度がすごく上がります。なんていうか、献立で悩む要素が減る。だって、キャベツがあれば、それだけ炒めればうまいのだから。

献立に悩まず気楽にやれるようになるというところが、一汁一菜と近いなと思うのです。気楽にやれるというのは、「気楽に作れる料理を作る」というよりも、「気楽に作れる力(つくれるりょく)がつく」というような感じです。

ところで「レイチェルのキッチン」シリーズという料理番組がNHKでたまにやっていて、この番組のすごいところは、レイチェルが料理するときに計量を一切しないのです。塩をパラパラー、豆をドサドサー、「ここで味をみて塩加減を調節してね」と言う。それでいて、色鮮やかで素敵な、キレイな、かわいい、写真を撮りたくなるような料理ができあがる。

たとえば製菓みたいな、絶対に事前に計っているはずの料理でも、かたくなに計量カップは出てこなくて、そのへんの瓶や器に入っている生クリームをダーッとボウルに入れる。番組中には、材料一覧も調理工程も、ささやかなテロップさえ一切出ない。

これが物凄く美しい番組に仕上がっていて、ずっと見ていられる。そして、しみじみと「こういうふうに料理したいものだなあ」と思わせる。雰囲気がいい。気楽に作れる力を感じる。(ちなみに、完璧に再現したい人のためには、番組ホームページにレシピが載っています)

それはそうと、チヂミは、ここのサイトのとおりに材料をきっちり計って作るとめちゃくちゃ旨いので、そりゃまあそういうこともありますわ。今年もよろしくお願いします。

www.kateigaho.com